労災保険の給付を受けると会社負担の保険料は上がってしまうのですか

労災事故Q&A

労災事故Q&A 基礎知識

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労災保険の給付を受けると会社負担の保険料は上がってしまうのですか?
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全ての会社で保険料が上がるとは限りません。例えば、事業の種類が「その他の各種事業」の場合、労働者が100人未満であれば労災事故がいくら起きても保険料は上がりません。
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会社の社長さんが「労災を使うと保険料が上がるのでは!?」とよく気にされますが、必ずしも全ての会社で保険料(労災保険率)が上がるわけではありません。事業の種類と労働者の人数によっては全く保険料が上がらない会社もありますので、自社の場合はどうなのか確認する必要があります。

そもそも労災保険率を引き上げたり、引き下げたりする仕組みは、事業主の負担の公平化と災害防止努力の促進のために制度化されたメリット制が基になっています。このメリット制の対象となる会社の範囲(有期事業は除きます)は「労働者が100人以上いる会社」または「労働者が20人以上100人未満で災害度係数が0.4以上の会社」と定められています。
この定めから分かるように労働者が20人以上の会社をメリット制の対象としていて、20人未満の会社はメリット制の対象から外しています。つまり労働者が20人未満の会社はメリット制の対象ではありませんので、いくら労災を使っても労災保険率が引き上げられたりすることはないということになります。

では、20人以上100人未満の会社の場合はどうなるのでしょうか。結論からいいますと、業務に危険性のない事業を営む会社(労災の事業の種類でいうところの「その他の各種事業」「金融業、保険業又は不動産業」「通信業、放送業、新聞業又は出版業」など労災保険率が4.5/1000の会社)の場合は、労働者が99人の場合でも災害度係数は0.4未満ですので、全く保険料(労災保険率)は上がらないということになります(災害度係数の詳細は以下のPointを参照)。
また、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業(労災保険率が5/1000)」の会社の場合では、労働者が95人までであれば災害度係数が0.4未満ですので、保険料(労災保険率)は全く上がることはありません。

また、このメリット制は業務災害を対象としていて通勤災害は除外していますので、どんなに労働者が多い会社でも通勤災害を申請したことによって保険料(労災保険率)が上がるということはありません。

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【労災の事業の種類が「その他の各種事業」(労災保険率が4.5/1000)の会社の場合】
災害度係数の式:労働者の数×(労災保険率-非業務災害率※)<0.4未満であればメリット制対象外

※非業務災害率は0.8と定められています。
99人×(4.5-0.8/1000)=0.3663 → 0.4未満のためメリット制対象外となります。

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メリット制は労災保険率を引き上げるという側面だけでなく、労災保険率を引き下げるという側面も持ち合わせていますので、衛生管理者(50人以上の労働者を使用する全業種の会社で選任が必要)などを中心に、社内の作業方法や衛生状態を定期的に見直し、労災保険率を引き下げられるよう努力しましょう。

〈社会保険労務士 PSR正会員 村松 鋭士〉