太田隆次の人事講座

エグゼンプト(Exempt)? [人事の教養]

投稿日時:2013/11/19(火) 09:00rss


最近、「雇用特区」で管理者だけでなく「高度人材」の専門職も時間外勤務の規定から除外(エグゼンプト)すべきであると、
アメリカのExemptの制度の導入が検討されています。ではアメリカのExempt制度とはどういうものか紹介しましょう。
 
日本の労働基準法にあたるアメリカのFair Labor Standards Acts(一般にFLSAと略称しています)に、
有名なExempt (適用除外)条項があります。何の適用除外かというと「一般社員には残業手当を払え」という
同じFLSAの条項の適用が除外されるという意味です。

この一番目にExecutive(管理者)があるので、とかく日本では「労働基準法」の連想で、Exemptというと即管理者は
アメリカでも「管理者はすべて適用除外」と誤解されますが、事実はそうではありません。

それぞれExempt Test (基準に合うか)といって厳格な条件があります。

参考のために、
アメリカのFLSAのExemptのリストの日本語訳と、エグゼクティブ(Executive―日本の管理職に相当)の部分で
残業代を支払わなくてもいい条件とは何かを図解します。
(1)日本の「管理職」と違って経営者に近い管理職のみで、Exempt(除外)の範囲が随分狭いことと、
逆に(2)管理職でなくても専門職をはじめ除外される範囲が随分広いことの二点が、対照的に違うことに注目して下さい。
 
  • 管理業務
    エグゼクティヴ→→→→→→→→→→→→
    アドミニストレーション
    専門職
  • コミッションセールスマン
  • 家庭内労働者
  • 病院または養老ホーム勤務者
  • 鉄道と航空会社の従業員
  • 船員
  • 小売店従業員
エグゼクティヴのExempt Test(残業代支払免除条件)
  • マネジメント業務を最優先事項とする従業員で、たとえば、課長や部長に該当する従業員
  • 直属の部下が最低2名いること
  • 部下の採用・解雇に権限があること。また部下の昇進について助言、推薦が出来ること
  • 業務推進について自由裁量権があること
  • FLSAが定める最低賃金が支給されていること
  • 管理職としての仕事以外の業務を行なう時間の合計が全労働時間の20%を越えないこと。小売やサービス業では、40%を超えないこと。(以下略)

これらは連邦のFLSAの基準ですが、加えて各州には各州のExempt 条項があります。
なお、日本で管理者は時間外労働の適用除外とする労働基準法と、地裁の判例を付記しておきます。
 
労働基準法第41条(時間外労働と割増賃金の適用除外)
2号「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者または機密の事務を取り扱う者」

大阪地裁(平成3年2月26日)
「労働基準法第41条2号の管理監督者にあたるかどうかの判断は、労働者が労働 条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にあり、自己の勤務につ いて自由裁量の権限を有し、出退勤について厳格な制限を受けない地位にあるか 否か等を具体的な勤務実態に照らして決すべきである」

東京地裁(平成20年1月28日)
「OOOOの店長は、社員の採用が出来ないこと、営業時間やメニュー、商品価格の設定も自由に行なえないから、管理監督者としての重要な権限はない、待遇面も評価によっては部下が、店長の年収を上回ることなど、不十分であり、第41条2号の管理監督者にあたらない」