太田隆次の人事講座

今こそ「事業は人なり」の原点に返るべき [人事の教養]

投稿日時:2014/02/25(火) 09:00rss


経営の三要素は、人(Man)、物(Material)、金(Money)で、略して「経営の3M」といわれることは誰でも知っていることです。

スローモーション風にいえば、まず「人を集めて管理する仕組み」(Man)があって、次にその人々が寄り集まって「商品を作り販売する仕組み」(Material)、そしてモノづくりに必要な「資金の調達と管理をする仕組み」(Money)というサイクルが、途切れることなく連結して動画的に流れが繰り返されています。これが規模業種を問わず共通する経営活動の本来的なモデルです。

日本では、江戸時代からモノづくりの高度成長時代までの「日本的経営」が、まさにこの動画的なモデルがあてはまりました。「事業は人なり」、「家族的経営」、「人間尊重主義」など、経営は「人から始まる」ことの代名詞でした。「花を育てるには一年、木を育てるには十年、人を育てるには百年」を合言葉に息の長い人材育成が日本企業の特色でした。

ところが、1990年以降の経営を取り巻く環境の変化、とりわけバブル経済の崩壊、グローバル競争の激化、新興国の台頭、リーマンショック後の金融危機、成果主義の台頭、人を部品とみなす人件費経営などが広まり様相は一変しました。

気が付けば、全労働者の4分の1までを占めるに至った低賃金の非正規社員、業績不振ではなく業績維持を大義名分としたリストラ大量解雇、企業買収、ヘッドハンティングの普遍化、世界最高速の少子高齢化などで、経営の三要素の伝統的な「経営は人から始まる」どころか、「人、物、金のどこからでも、いつでも始める」時代になってしまいました。

さすがに、有識者や志を持つ経営者から、日本経済が生き残るためには、こういう風潮に流されることなく、経営の三要素は、日本人の強みである「人が原点」に一刻も早く返るべきだと指摘されるようになりました。

人事部門は、こういう時代だからこそ、先を見越した人材育成に取り組まなければなりません。