太田隆次の人事講座

政府提唱「女性管理職30%目標」の論点整理 [人事の教養]

投稿日時:2014/08/22(金) 09:00rss


政府は2020年までに企業の管理職の割合を30%に高める目標を掲げています。
社内で議論するための参考として主な論点を整理します。
 
1.現在位置は?
 最新の調査によると
女性管理職の割合: 全国1万1017社対象に調査したところ、女性管理職が1人もいない企業が全体の51.5%, 10%未満が8割を超えています。(帝国データバンク調べ)
国際的にも、米国は43.7%, 英国が34.2%で日本は11.1%と先進国では
最低レベルにあります。(労働政策研究・研修機構調べ)
女性雇用者の数: 2013年の国内の女性労働者は2002年に比べて250万人増の2323
人に増えましたが、雇用者の過半数はパートなど非正規社員が占めてお
り、正社員は25万人減少しています。(内閣府調べ)


 
2.議論
政府は成長戦略の中核として、企業の女性の管理職登用割合を30%とする数値目標を掲げ、女性企業家支援、
積極的な企業に対して補助金、公共調達指名に優遇などの支援を検討しています。
この8月には「男女共同参画推進本部」が設立され具体化に向かって動き出します。

この動きに呼応するように、早速、シンポジュームやメディアの特集番組で、各界の識者が「我かく考える」「かくあるべし」と
各人各様の見解や問題点を述べています。それは大いに結構なことなのですが、
数値目標実行を要請されている企業にとっては、当事者として解決すべき課題として企業内で方針を決め
実行しなければなりません。
 
社内論議に役立ちそうな論点を紹介します。
論点1 均等法と関連法規の社内の具体的成果を整理、再評価すべきである。(「管理職登用30%」に向けての検証)
1986年:「男女雇用機会均等法」で採用・昇進等の機会均等の努力義務
1997年:差別的取扱い禁止に全面改正
2007年:妊娠、出産などによる不利益取り扱い禁止、ポジティブアクション(男女間の格差解消)
など企業内の男女均等の法的な環境整備はほぼ整っている。
論点2 政府提唱の30%の上げ底的な数値目標より、長年の女性軽視の文化風土の改革が先決である。
日本人の歴史的な女性軽視は数値目標だけで一朝一夕に改まるとは考えられない。
最近の都議会議員のヤジと組織による幕引きはその一例である。(OECD)
日本社会では「女性は家庭に入り家族の世話をすべき」という固定観念が強い。
女性の大卒比率は2008年には48%に達したのに家族が増える30代で多くが「退場」している。
これが日本企業において女性の活躍を阻む最大の要因だ。(フランス人のマッキンゼー日本支社長)
論点3 女性が働きやすいように保育所の整備が必要である。
女性の職場復帰や就労に保育所の充実が欠かせない。行政だけでなく、企業も取り組むべきである。
女性活用先進国の欧米では企業内保育所は珍しくない。
論点4 女性登用拡大に向けた制度整備の実例も参考にする
実例:
・女性管理職の早期育成の研修制度
・女性が復職しやすい制度
・女性の採用を二倍に増やす
・女性管理職向けリーダーシップ研修
・事業所内保育所設置
・女性キャリアアドバイザーを配置
・入社15年目の女性社員全員参加の管理職育成講座

政府目標達成もさることながら、着実に女性が活躍できる社内の環境づくりが基本ですね。