太田隆次の人事講座

奈良時代の人事考課:「功過行能」 [人事の教養]

投稿日時:2015/03/24(火) 09:00rss


 わが国では、奈良時代に唐をモデルにして日本流の律令が制定されました。
そのうちの一つ「考課令」には現代と遜色ない人事考課の詳しい手続きが定められています。
 
その基本は、
「上司は皆つぶさに一年の功過行能(こうかこうのう)を録して対読せよ。その優劣を諮り九等第(九段階評定)せよ」とあります。

つまり、
「部下の過去一年間の功(功績)、過(過失)、行(行動)、能(能力)の記録を面接して読み聞かせ、
九段階評定せよ」というのです。

その詳しい手順もついています。
 一口に言うと、現代の「実績評価」「態度評価」「行動評価」「能力評価」を面接しながら五段階評定する仕組みと同じです。

奈良時代の九段階評定というのは、
過去一年間の日常の勤務成績を基にして、部下と面接した上で、まず上中下とし、
その上中下のそれぞれをまた三段階に評価することです。驚くほど似ています。
 
九段階評定は三段階評定を二回繰り返す自然な流れであり、現代でも納得性があります。

戦前から戦後しばらくは、日本の役所、企業、学校などどこでも伝統的に「優良可」や「甲乙丙」などの三段階評価が原則でした。
最近のように五段階評定が一般化したのは、アメリカ企業の方法を導入してからです。
 
奈良時代から一三〇〇年経た現代でも、人事考課の基本的な仕組みは変わりません。

奈良時代人事の成果主義といえる「功過行能」や、日常の記録をベースに面接して、
まず三段階評定して次にそれぞれをまた三段階評定する完成した仕組みで、当時六万人いた官人の人事考課をしていたのです。

その生々しい記録も木簡で残っています。
タイムスリップして式部省(当時の人事担当の役所)のお役人たちと議論して見たいですね。
「あまり進化していないね」といわれそうです。