太田隆次の人事講座

人事の歴史は人事+労使関係+人材開発を加えながらの絵巻物です [人事の教養]

投稿日時:2015/05/26(火) 18:00rss


賃金労働から始まった人事の来た道を振り返って、現在の人事を見直してみましょう。
 
1.人事の誕生: それは仕事と賃金の記録から始まった(人件費が原点)
産業革命の結果、雇用者に雇われて賃金を得るために働くことが始まり、「仕事と支払った賃金の個人の記録」の専門担当者のことをPersonal をもじってPersonnelと称したので、20世紀のはじめにPersonnel Management (人事管理)という言葉が生まれ、日本を含め世界中で使われてきました。その主な内容は、雇用、服務規律、評価、賃金、福利厚生など、人件費を原点とする労働条件です。
現在ではPersonnel Managementとは言わず、Human Resource Management 略して
HRMとか単にHRと称し、「社員の能力を人的資源として経営に活かす仕組み作り」として、たとえば
・人員不足の都度、採用するのではなく経営戦略にマッチした最適な人材を採用する
・評価は、行事の消化ではなく企業競争力を向上させる為に個人の能力を最大最適に発揮する人事評価制度を設計し活用する
・多様化した労働力を全体最適に活かす
などがあります。
 
2.労使関係: 労働者が増えてきて、法律による介入と保護が必要になった
 社会と経済が発展拡大し労働者が飛躍的に増えてくると、労働者の保護が必要になり、労働条件の基準明確化に始まり、労働組合活動の保護、安全衛生の確保など労使関係の法制が出来、日本でも戦後、労働三法といわれる一連の労働組合法、労働基準法、労働関係調整法などが制定されました。
現在とは違い、戦後は労働組合運動の政治的先鋭化で、企業は個人対象の人事政策よりも、専門の労政の組織まで作り日夜、労使関係安定化に追われていました。
20世紀の終わりには、経済発展につれ労使関係は安定しましたが、労働条件引き上げ、労働時間の延長や変更、安全衛生管理体制、雇用均等など、企業内の労働組合や労働者代表との協定が法定の条件とされていることが多くあり、労使関係の重要性は依然として変わりはありません。労働組合がなくても労使関係は存在します。
 最近の、ブラック企業摘発、障害者雇用や長時間労働など、労基法違反企業の社名公表などは人事には「労使関係」があることを物語っています。
 
3.人材開発:足りない分を補う「教育」から、知られざる資質の「開発」に大転換
 かつては、職務の難しさと雇用した社員の能力の差を、「教育ニーズ」と称して埋めるOJTや教育訓練部門が担当していました。「ニーズなきところ教育なし」という言葉もありました。
しかし、21世紀に入って、企業競争が経営革新で厳しさと早い変化にさらされるにつれ、これまでの与えられる、静的な「教育」では企業競争から脱落することから、知られざる資質の探鉱と動的な「人材開発」が重んじられ、グローバル要因も加わって、今や「人事」と「労使関係」を抜いて「人材開発」が主役の時代になっていることに注目しなければなりません。