太田隆次の人事講座

ドイツが国をあげて難民を歓迎するのはなぜか [人事の教養]

投稿日時:2015/09/24(木) 17:30rss



最近はヨーロッパでの難民の受け入れ問題が大きく取り上げられています。

その中で失業率が高いのにドイツだけが「今年は難民を80万人、今後も数年間は年間50万人を受け入れる」と
歓迎の意を政府が表明しています。
この計画に国民の60%が賛成し2060年には移民の占める割合は人口の9%となります。
それどころかメルケル首相は「難民を排斥する者は容赦しない」とまで厳しい姿勢をドイツ国民に
明らかにしています。それは単なる人道問題ではなく、ドイツの事情があるからです。


理由1.労働者減少の穴埋めに
    死亡数が出生数を上回り、2030年には労働者は600万人減少する見通しで、
    長期的にも現在のドイツの人口の約8200万人が、2060年には約6800万人程度と1400万人も
    減少すると予測され、労働力不足と経済力低下が目に見えています。
    (なお、日本も現在の1億2700万人が2060年には8674万人へ減少すると予測されているので
    決して他人事ではありません)

理由2.3K労働者の穴埋めに
    きつい、汚い、危険のいわゆる3K職場が忌避されドイツ人労働者が急減し、移民や難民で
    穴埋めせざるを得ない状況が続いています。

理由3.熟練労働者の穴埋めに
    ドイツといえば徒弟制度やマイスター制度による熟練労働者でした。ところがドイツ人の若者の多くが、
    徒弟制度やマイスター制度に興味を持たなくなり、大学への進学するようになり、伝統的なドイツ人
    熟練労働者は減少しつつあり、ドイツ経済の将来が危ぶまれています。そこで難民を教育して
    熟練工に仕立て上げる動きが加速されています。

理由4.反省と贖罪として
    他のEC加盟国と比べて、ドイツだけがナチス時代に600万人といわれるユダヤ人虐殺の反省と
    贖罪の負い目が背景にあるのも事実です。
 
ドイツの難民開放政策の理解に役立てて下さい。