太田隆次の人事講座

女性活用を妨げる壁 [人事の教養]

投稿日時:2015/10/20(火) 17:44rss



日本で男女平等が叫ばれてから長い年月が流れましたが、現実には遅々として進みません。
そもそも日本での男女平等論は、既に明治時代に平塚雷鳥などが集会や文筆による啓蒙活動を
始めています。
その後、新憲法や連合国GHQの指導や1972年制定の「勤労婦人福祉法」に続く1986年制定の
「男女雇用機会均等法」などの立法措置で改善はされましたが、いまだに先進国の最低レベルに
あり常に批判の的となっています。
 
遅れを取り戻すべく政府も女性登用の推進を政策に掲げ、この8月には企業の女性活躍の
取り組みを比較できる「女性活躍推進法」を成立させました。またこの10月には「一億総活躍社会」
大臣を任命しました。
 
比較するデータは「女性の管理職の割合」「男女別の育児休暇取得率」「採用者に占める女性の割合」
「男女の平均勤続年数の差」などを、301人以上の企業にホームページに情報公開を義務付け、業種別、
地域別に集約し、ウエブサイトで誰でも閲覧できるようにします。
 
その他、女性活躍のための数値目標と企業の行動計画や、就職活動中の女子学生の企業選びの参考に
なるよう、企業の仕事と子育ての両立に向けた支援制度や利用状況も公開させます。
この法律による政府主導の情報公開で、努力している企業は優秀な人材採用の獲得に効果があると
期待されています。
 
「誰でも見られる」というネット情報で、横並びに弱い日本企業にはかなりインパクトがあると
思われますが、現実には、打ち壊すべき次のような壁が横たわっています。
これらの壁が存在する限り、真の意味での女性の活躍は難しいでしょう。

 1.企業の壁
   ① 長時間労働の壁  日本企業の長時間労働はたびたびの法律改正、労働基準監督署による
    行政指導強化、ゼロ残業運動、フレックスタイムの導入、在宅勤務の拡大などにも拘わらず、
    世界的にも遅れています。女性の活躍をいう前に、日本独特の「長時間労働の壁」を
    打ち壊さねばなりません。

   ② 評価制度の壁   評価制度が男性本位になっていないか、理念から見直して設計や運営に
    公平、公正さに問題がないか、女性が活躍出来るように、現行の評価制度をゼロベースで
    再構築すべきです。

 2.夫の壁
  専業主婦であれ共働きであれ、家事と育児は夫婦の共同作業です。家事と育児をしないで妻に
  押し付けている夫は若い年齢でもいますが、女性の活躍を妨げる壁です。

 3.文化の壁
   どの国でも「女性は家庭にいるもの」という文化がありましたし、特に日本では
   「妻を働かすのは夫の沽券にかかわる」と最近までいわれていました。
   それが経済と社会の発展と共に職業が多種多様化して、最初は女性向きの電話交換手、
   事務員だったのが次第に拡大し、現在では性別に関係なく「持てる能力を生かす」のが
   一般通念になっています。
   しかし、日本の社会には「男は家事労働をしないもの」や「女性が外に出て働くのを
   よしとしない」文化がまだまだ残っているのが現実です。この文化の壁がなくならない限り、
   女性活躍はお題目に終わるかも知れません。