太田隆次の人事講座

相手のコンテクスト文化を知る [人事の教養]

投稿日時:2016/03/29(火) 15:49rss



「日本はハイコンテクスト(High Context)社会で、 欧米はローコンテクスト社会」と、
グローバルマネジメント研修やコミュニケーション研修で習われた方も多いでしょう。
グローバル競争に勝ち抜く為には、単なる機械的翻訳ではなく、相手やその場その場の
コンテクストを読み込まなければなりません。
 
1.コンテクストとは?
 最近では「前後のコンテクスト、文脈から判断するに」のように日本語でも、
コンテクストという言葉が「前後関係」「文脈」の意味で使われるようになりました。
 時は1970年代、場所はボルネオ島のある集落で、アメリカの文化人類学者の
エドワード ホールが通訳を介して酋長にインタビューしていました。
この集落で使われている言語の数を尋ねた所、酋長は「75語ある」と答えました。
いくら未開地とはいえ、「言語が75しかないのでは不自由では?」と尋ねると、酋長は
「いや全然不自由していない、表情やしぐさや声などで何でも分かり合える」と答えました。
 ホールは帰国後、世界の主要国を現地調査し、文明国でも日本のように言語の数は
少ない国では、言語以外の表情や声の高低などからその何十倍かの情報が聞き手に
文脈が共有度高く伝えられる( High Context)国と、英語圏のように言語の数が多くて、
話し手が適切な言葉を選ばないと文脈が相手に伝わる共有度が低い(Low Context)国
とがあることを発見し、その結果を1976年に「文化を超えて」(Beyond Culture)という著書で
発表しました。
 
なぜ言語の数が少ない(大辞林で約13万語)日本はハイコンテクスト社会で、
英語圏(ウエブスター辞典で約100万語)はローコンテクスト社会なのかについて、

①日本は定着居住型の農耕社会で農耕や行事の段取りで集まる程度で、コンテンツの
少ない言葉で用が足りる、 文脈が話し手にも聞き手にも共有度が高く伝わる
ハイコンテクスト社会だから

②欧米は移民や移動の多い狩猟社会で、方角や距離などコンテンツの多い言葉で
相手が間違いようのない適切な言葉を選んで使わないと成り立たない、お互いに共有度の低い
ローコンテクスト社会だからと説明されて、日本でも欧米でもコミュニケーション研修の
必須科目になっています。
 
2.例
  ハイコンテクスト(日本)の例      ローコンテクスト(欧米)の例
  アナログ                 デジタル
  空気を読む               自己主張を優先
  文章に主語が省略できる       文章に主語が省略できない
  余韻、含蓄を好む           勝手な憶測を許さない            
  座談会向き               交渉、ディベート向き
  エッセー向き              契約書向き
  短くて曖昧表現を好む        長くて直接的表現を好む
  寡黙も評価される           寡黙は評価されない
  質疑応答を重視しない        質疑応答を重視する
  論理的飛躍も許される        論理的飛躍を許さない
  起承転結の流れを好む        5W1Hによる問題解決を好む
 
戦に赴く鎌倉武士が妻に言い残したという「おせん泣かすな、馬肥やせ」はハイコンテクストの秀作ですね。