遊部香の職場のコミュニケーション術

<<前へ
rss

その51 ~仕事で大切なのはVW!~ 最終回

[コラム] 投稿日時:2013/06/18(火) 09:00

 先日、iPS細胞を開発し、ノーベル賞を受賞された山中信弥氏の本(「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」)を
読みました。

 新しくものを生み出す研究・開発の現場は、コツコツと地道な行動を積み重ねていく努力が必要なのだろうと思いますが、
実際山中氏は、アメリカの研究所にいたときに所長に言われた「VW」を大事にしろという教えを大切にやってきたそうです。

 VWというのは、所長が愛用していたフォルクス・ワーゲンにもかけているそうですが、
この文脈での意味は、「ビジョン」と「ハードワーク」なのだそうです。

 一生懸命努力するのはもちろん大切だけれど、ビジョンがなければいけない、
と。

 この本の中でも、受賞が決まった時の会見でも、山中氏は、「決して自分一人の業績ではない」ということを強調され、
研究を手伝ってくれていた院生などに非常に感謝の言葉を並べているのですが、自分がビジョンを持つことも当然大事だけれど、
それを共有し、同じビジョンに向かって「ハードワーク」してくれる人がいると、さらにすごい力になるのだな、
ということを感じました。

 メンタルヘルスの勉強をしていても、うつ病になるのは「長時間労働」+「やらされ感」なのであって、
自分が納得し、やっていることなら精神を病むことはないと言われます。

 山中氏もきっと、メンタルが危ないと言われる労働時間をはるかに超えて働いていたと思われますが、
「ビジョン」があれば、「ハードワーク」はプラスの成果につながることもあるということを証明されていますね。
(もちろん、社員の労働時間を管理する経営者や人事部の立場で、長時間労働を肯定していてはいけませんが……)

 ビジョンを共有する……
一言でそういっても難しいですが、「自分の仕事に意味を感じて働ける」人を増やすためには、
やはり、日常からのコミュニケーションと、研修やオフサイトミーティングのような、
普段はなかなか話さない「何のために働くか」「この仕事にどんな意味があるのか」などを考え、話し合える場があるといいですね。


 このコラムは、職場のコミュニケーションを改めて考えるということをテーマに書いてきましたが、今回が最終回になります。

 なにか一つでも皆様のヒントになることがありましたら、幸いです。
 今までご愛読、ありがとうございました。

その50 ~3 good things~

[コラム] 投稿日時:2013/05/15(水) 09:00

最近、うつ病での労災認定が増えています。

10年ほど前までは、たとえ社員がうつ病になったとしても、それで労災を申請できると考える家族はまれでしたが、
最近は労災認定されないと、国を相手取り、「これは労災でしょう」と国の判断を覆すように求める裁判も多く起きています。

うつ病のメカニズムはまだはっきりと解明はされていませんが、
うつ病で労災認定されるケースは、大きく2つに分けられ、

 ・長時間労働をさせていた(月80時間以上の残業時間があると危ない)
 ・パワハラやセクハラがあった

であるといわれています。


長時間労働は「過労死」につながる可能性もありますし、人間、やはり睡眠時間が足りなくなると、物事を正しく判断したり、
ポジティブな考え方をしたりすることが難しくなりますので、会社としては一番気をつけなくてはいけない問題です。

ハラスメントでの労災認定も、近年増えていますので、是非、あらかじめ研修をしたり、相談窓口を決め、周知したり、
ハラスメント問題が発覚したら厳格に対処するなど、会社としての取り組みが大切です。

※ハラスメント対策のDVD小冊子研修もございます。ご希望の方は、お問い合わせください。


ただ、上記は「会社に責任がある」と認めやすい2つの原因であるというだけで、

うつ病の大きな原因には、

「マイナス思考が積み重なり、思考の負のスパイラルから抜け出せなくなった」
「会社全体が暗い雰囲気で、そこで毎日過ごすと憂鬱な気分になる」

ということもあると思います。


最近は「ポジティブ心理学」という考え方が出てきています。
これは、心の病気になってからそれを治療するというより、
健康であるうちに、どうしたら幸福感が増すのかを研究するものです。

そのポジティブ心理学の第一人者であるセリグマン博士は、こんなことを薦めています。
「1日の終わりに、その日良かったことを3つ書き出し、その良いことはなぜ起きたのかを考える」

これを1週間続けると、うつの度合を示す数値が30%減少し、その効果は6か月続いた、という実験結果があります。

実際にやってみると、その威力はすぐ実感できると思います。


意識を向けているものが、増える、という法則もあります。
いいことに目を向ける癖さえつけられれば、さらに良いことは見つけていかれるはずです。
そしてそんな「ポジティブ」な人が集まった職場でしたら、ポジティブな空気は伝染するという理論もありますので、
職場自体が「うつ病」の人を出しづらい雰囲気になってくるはずです。


「主観的に幸福な人は、そうでない人に比べて、病気が少なく、寿命が長く、収入が多い」
という研究結果も出ているそうですので、是非、実行してみてはいかがでしょうか?

その49 ~離職率が高い原因2~

[コラム] 投稿日時:2013/04/23(火) 09:00

 先月は、離職率が高い原因4つのうち、
 (2)入社初日の対応が悪い(放置・受け入れ態勢が出来ていない)
 について見ていきました。

 残り3つの理由は
 (1)入社前と入社後のギャップがある(仕事内容・役割)
 (3)困った時の相談相手が固定していない
 (4)この会社にいても先が見えない、成長が出来ないと感じる
 でした。

 ※この「4つの原因」を分析されたのは、採用コンシェルジュいしづか代表・石塚毅氏です。
  石塚氏の採用コンサルテクニックを知りたい方は、DVDがございますので、お問い合わせください。

 今回は(3)について見ていきましょう。

(3)については、大きな会社では、「メンター制度」を導入されているところも多いでしょう。

 しかし、中小企業では、新入社員を入れたはいいけれど、誰が教育担当なのかもはっきり分からないまま、
 切り取られた断片の業務だけがただ振られ、
 新人はそれをこなしているだけで1日が過ぎてしまう……という状況もあるかもしれません。

 その状況を改善するには、まずは「教育係り」を決めるということが大切になってきます。

 人は役割を与えられると成長するということもありますので、
 「まだちょっと頼りないかな」というくらいの入社2年目くらいの人にその役割を任せてもいいと思います。

 責任を与えられたことで、ぐんっと成長する人も多くいます。

 ただ「教育係り」をお願いするのなら、それも一つの「仕事」という位置づけにして、
 「教育」をしっかりしているか評価する、仕事量が多ければ、他の仕事の負担を少し減らす、など、
 上の人の心配りも大切になりますので、任命したら終わり、というふうにはならないようにしてくださいね。

 また、入社した社員がすぐにやめないようにするためには、
 「3の倍数」でフォローするのが大切とも言われています。
 入社3か月、6か月のときには、是非、上司や人事担当者との面談の機会などを作ってみてください。
 同期入社の人がいるのなら(数か月のずれはあっても、似たような時期に入った人でも)、
 同期会の設定などをするのも、お勧めです。

 先月からの繰り返しになりますが、人は、自分に関心を向けてもらえない状況が続くと、
 「本当にこの会社に居続けていいのだろうか。ここは自分の居場所なのだろうか」と不安になります。
 その不安が、「離職」につながっていくのです。

 相手に個人的にしっかり「関心」を持ち、相手の存在を承認していく、ということも大切ですが、
 新入社員に「君は大切なこの会社の一員だ」と伝える仕組みを作ることも意識してみてください。
 仕組みがあれば、「忙しくて、今回は手が回らなかった」ということが防げます。

その48 ~離職率が高い原因~

[コラム] 投稿日時:2013/03/21(木) 09:00

 弊社では半年ほど前に、採用に関するセミナーを開いたところ、大変人気でした
(ご希望の方にはDVDの販売がございますので、お問い合わせください)。

 その講座の講師の先生は、
「これまで4000名以上の転職希望者と面談し、2500社以上の企業からトータル10000件以上の求人を受注してきた」
という採用のプロフェッショナル(経営コンシェルジュいしづか・石塚毅先生)なのですが、
その先生のお話のなかで、印象に残った言葉がありました。

 それは……
「採用に困っているという中小企業の多くが、実は、採用に困っているという以前に、離職率の高さで困っている」
 ということです。

 そして、離職率が高くなる4つ要因は下記の4つであることが多いということでした。
 (1)入社前と入社後のギャップがある(仕事内容・役割)
 (2)入社初日の対応が悪い(放置・受け入れ態勢が出来ていない)
 (3)困った時の相談相手が固定していない
 (4)この会社にいても先が見えない、成長が出来ないと感じる

 このなかでも意外に多いのが(2)であると。


 先月のコラムでは、「注目されると仕事の効率が上がる」というお話を書きました。
 逆に言うと、注目されない、誰からも関心を持ってもらえないという状況に置かれると人は、
「この会社に自分がいる意味はないかもしれない」と思ってしまう、ということです。


 大企業では(2)のようなことは少ないと思いますが、小さな企業では意外と思い当たる節がありませんか?


 たとえば、
 ・中途入社の人が初めて会社に出社したが、社長は外出していず、会社にそのときいた人は誰も、
  今日から新入社員が来ることを聞いていなかった
 ・新しい人が出社してきても、まだ机もパソコンも準備されておらず、「その辺に適当に座っていて」という扱いだった
 ・机はあてがわれたが、引き出しを開けてみると、以前その机を使っていた人の文房具や名刺がそのまま残っていた

 このコラムは「社内のコミュニケーションをよくしましょう」ということがテーマですが、
その大前提となるのが、「相手に関心を持つ」「関心を持っていることを伝える」ということです。

 あなたの会社の新入社員の受け入れは、しっかり相手に「関心を持っていますよ」と伝えるものになっているでしょうか?
 上記の例のようにひどくはなくても、一度見直してみるといいかもしれません。

その47 ~作業効率が上がったのは?~

[コラム] 投稿日時:2013/02/13(水) 09:00

 昔、ある人が、工場で働く人の作業効率と作業場の明るさに相関関係があるかどうか実験をしたそうです。

 その結果、作業場の明るさを明るくしたところで働いたチームは、作業効率があがりました。

 ただ、作業場の明るさを変えなかったチームでも作業効率が上がった!
 というのです。

 なぜでしょう?

 この実験の場合、結局、作業場の明るさが作業効率と関係があったのか、なかったのかは明らかではありませんが、
 実験のそもそもの目的とは違い、この実験が証明したのは、
 作業効率と、人から注意を向けられているかどうかには相関関係がある!
 ということでした。

 そういわれて考えてみると、それはそうだな、と思いませんか?

 誰でも、人が見ているところのほうが、人が見ていないところよりもよく働きます。

 でもここで言いたいのは、社員や部下の仕事の効率を上げたかったら監視をしましょう、ということではありません。

 そうではなくて、「いつもあなたの頑張りを見ていますよ」というメッセージを送ることが大切だということです。

 ・「頑張っているね」「いつもありがとう」と普段から言葉をかける
 ・大変な仕事が終わって、ふぅっと息をついたタイミングで「お疲れさま」と声をかける
 ・「○○の件は大変だったね」など、相手が頑張っていたことを具体的に挙げて、普段から気にしていることを伝える

 など、ちょっとした言葉がけでいいと思いますので、是非、「普段から気にしていますよ」ということを伝えてみましょう。

 言葉をかけられた人のモチベーションがアップするだけでなく、職場の雰囲気も良くなりますよ。
«前へ