残業手当を固定残業手当として支払う

サービス残業対策

サービス残業対策その4

残業手当を固定残業手当として支払う

「業務の特性上、どうしても月に一定時間の残業が発生するが、従業員にはその旨了解してもらっているし、残業があることを前提に賃金も決めているから、特に残業手当として別に支払っていなくても問題ないだろう。」
社長さんのこういった言い分を聞くことがよくあります。
しかし、このようなケースで、もし労働基準監督署の調査が入れば、別途残業手当を支払うよう指導されることになってしまいます。
それでは、一定時間の残業手当を固定的に支払うことは認められないのでしょうか。
残業手当に相当する金額が明確に区分されていて、その金額と、法定の割増率で計算された本来の残業手当とが比較できる状態となっていれば、一定時間の残業手当を固定的に支払う方法が認められています。

サービス残業対策

それでは、今まで支払っていた賃金を固定残業手当込みの賃金に変更する方法を具体的にみてみましょう。
上の図は、従来20時間の残業込みで月20万円の賃金を支払っていた場合に、その20時間分の残業を固定残業手当として基本給と別に区分した例です。
まず、20時間分の残業がいくらの金額になるのかを計算するために、残業手当を計算する際に基本となる時間単価(X)を算出します。
【1】(平均労働時間)176時間×(時間単価)X+(残業)20時間×1.25×(時間単価)X=20万円
【2】(176時間+25時間)×(時間単価)X=20万円
【3】(時間単価)X≒995円
次に、固定残業手当(20時間分)と基本給を計算します。
【1】995円×1.25×20時間=24,875円⇒20時間分の固定残業手当25,000円
【2】20万円−(固定残業手当)25,000円=(基本給)175,000円

サービス残業対策
【1】固定残業手当を途中から導入する場合、実質的な賃下げとなりますので、実施には従業員の同意が必須となります。
【2】基本給が、最低賃金を下回らないよう注意が必要です。
【3】固定残業手当として設定した時間以上の残業については、別途残業手当を支払う必要があります。

<社会保険労務士 PSR正会員 森川 康治>