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コンテンツ提供元:株式会社ブレインコンサルティングオフィス 

2011/06/30

最低賃金引き上げ求め提訴 生活保護と「逆転」は違法


神奈川県の最低賃金が生活保護水準を下回る「逆転」状態のまま放置されているのは最低賃金法の趣旨に反するとして、同県内のコンビニなどで働く約40人が30日、時給千円以上への最低賃金改正を神奈川労働局長に命じるよう求める訴訟を横浜地裁に起こします。
 2008年7月施行の改正最低賃金法が生活保護との整合性を考慮、逆転解消を求めたのを受けた措置。厚生労働省労働条件政策課は「こうした訴訟はこれまで聞いたことがない」としています。09年時点では12都道府県が下回り、神奈川県は生活保護水準との差は時給換算で47円と最大となっています。原告側によると、法改正を受けての提訴は全国で初めて。
 弁護団によると、同県の現在の最低賃金は時給818円。厚労省は月額に計算した場合、836円以上なら生活保護水準に達するとしています。しかし原告側は「国は実態とかけ離れた労働時間などで計算しており、生活保護水準を上回るには最低でも千円以上に設定すべきだ」と訴えています。
  原告には、仕事を掛け持ちして生計を立てている人や、収入が十分でないために結婚や子どもの進学を断念している人もいるとのこと。引き上げは生活苦に直面している人を救うだけでなく、全体の賃金水準底上げにもつながる」としています。
 厚労省によると、有識者や雇用主、労働者でつくる中央最低賃金審議会が、最低賃金の引き上げ額の目安を示し、都道府県別にある審議会の答申を受けて国が決定します。ことしの最低賃金の改定については7月以降、中央最低賃金審議会の審議が始まります。県内の最低賃金を決める神奈川労働局は「コメントは差し控える」としています。