遊部香の職場のコミュニケーション術

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その46 ~合わないな、と思う人~

[コラム] 投稿日時:2013/01/17(木) 09:00

 だいぶ前ですが、「嫌いな人」とは、実は自分と似ている人かもしれない、ということを書いたことがあります。
(たとえば自分自身の気が短いところが嫌いだと思っている人は、
 周りにいる「気が短い」と見える人のことを必要以上に嫌ってしまう、というようなことです)

 今日は「苦手な人」について書いてみたいと思います。

 嫌いではないけれど、苦手だなと思ってしまう人。
 その多くは多分、「なんか合わないな」という人だと思います。

 なぜ合わないのか。
 もしかしたら、「タイプ」が違うのかもしれません。

 心理学には何種類も、人をタイプに分けて分析する考え方がありますが、
 そのなかの一つに「ソーシャルスタイル理論」という考え方があります。

 よく使われているのが戦国武将によるタイプ分けで
 ・織田信長タイプ……ビジネスライクで感情を見せず、自分の意見を強く前に押し出す(ドライバー)

 ・豊臣秀吉タイプ……開放的な性格。直感で動く。自分の意見を積極的に口にしていく(エクスプレッシブ)

 ・明智光秀タイプ……論理的で、じっくり物事を分析する。口数は少なく、人前であまり意見は言わない(アナリティカル)

 ・徳川家康タイプ……論理より和を大事にする。自分の意見は言わず、微笑みながら周りに合わせていく(エミアブル)

 という4タイプになります。

 つまり4人だけで今後の方針を決める会議を開いたとしても、上記4タイプがいたら、たぶん会議はすぱっと動きません。

 織田信長は「A案がいいと思う。それでいこう」と断定的に言い、

 豊臣秀吉が「なんとなくB案のほうがいいと思うな」と口にし、

 明智光秀が二人にだいぶ遅れて、
 「△△のデータを参考にすると、A案の場合、××になる可能性が5パーセントあり、
 B案の場合、□□になる率が10パーセントになるということです。
 つまり、A案であってもB案であっても、もっと慎重に検討する必要があると思います」と静かに口にし、

 最後に徳川家康が、「意見が分かれてしまいましたね。私は決まったものに合わせて動きますよ」と言う

 ……というような感じでしょうか。

 そのとき明智光秀は、豊臣秀吉に対して、
 「なんの根拠もなく直感でビジネスができるか」とかすかな苛立ちを覚え、

 逆に豊臣秀吉は明智光秀に「なんか面倒くさいな、この男」と思い、

 織田信長は徳川家康に「自分の意見がないのかこいつは」

 と感じるかもしれません。

 つまり、ちょっとずつ心の中に違和感のような「この人、苦手だな」とう思いが生じてくるわけですね。

 こういう場合(ソーシャルスタイル理論を持ち出さなくても、なんとなくタイプが違って、合わないな、という場合)、
 苦手意識を減らすのに役立つ考え方は2つあると思います。

 1つは、「相手は自分とは違うタイプなんだ」と理解して、自分と同じ反応や言動を期待しないようにすること。

 そしてもう1つは、「自分と違うタイプの人と組んだ方が、実は弱みを補いあい、いい効果がでる」と理解し、
 自分と異なる意見も尊重することです。

 ソーシャルスタイル理論をもっと知りたい方は、本もたくさん出ていますし、
 弊社ではソーシャルスタイル理論を使った診断を使った研修などもしておりますので、お問い合わせ頂けたらと思います。

その45 ~自分へのディスカウント~

[コラム] 投稿日時:2012/12/17(月) 09:00

 半年ほど前のコラムで「ストローク・ディスカウント理論」というものをご紹介しました。
 
 復習しますと……
 
 人との関わりは、大きく次の2つに分けられます。
 
■人間関係を構築する関わり=ストローク
 
 相手(あるいは自分)の存在・価値・行動を「認めている」と伝える行動や言葉など
   ex. 笑顔、明るい挨拶、褒める、励ます
 
■人間関係を破壊する関わり=ディスカウント
 
 相手(あるいは自分)の存在・価値・行動を値引く行動や言葉など
 つまり、否定したり、軽く見たり、無視すること
    ex. 殴る、けなす、無視する
 
 そして前のコラムでは、自分にも人にもストロークを与えましょう、ということをお伝えしました。
 
 今回は「ディスカウント」のほうを見ていきたいと思います。
 
 ディスカウントとは、相手の存在を否定するような言葉や行動です。
 たとえば職場で言うと……

 ・ひとつ小さなミスをした部下に対して、「お前はまるで役に立たん」「早くやめろ」などと怒鳴る

 ・相手を無視して、話しかけられても答えない

 ・経験のある人なのに細かい雑用のような仕事しか与えない

 などが当てはまるでしょう。
 
 こういった問題が最近クローズアップされてきていますが、それが「パワーハラスメント(パワハラ)」ですね。
 
 でも、パワハラはいけない、ということは分かっている、
相手を傷つける言動はいけないとわかっている人でも、ついついやっているのが、
「自分を傷つける」ディスカウントです。
 
 ちょっと失敗しただけなのに、心の中で「あ~、もう、またこんなことやってる。
なんてバカなんだ」と思ったり、大きな案件を目の前にして、
「こんなことできるわけないよ。きっと失敗するに決まっている」と
思ったり……。

 こういう自分に向けた心の声について、意識を向けていない人が多いですが、
ちょっと気をつけてみると、とても相手には言えないようなひどい言葉を、自分に投げかけていることがありませんか?
 
 このコラムは「コミュニケーション術」というタイトルですが、まず自分の心を安定させなければ、
いいコミュニケーションなどとれるわけはありません。

 まずは、自分の心を満たし、安定させるために、自分自身への「ディスカウント」を減らしてみませんか?
 思わずディスカウントしていたとき、「あ、これはディスカウントだ。やめよう」と思うだけで、減らせます。
 
 ただ、ゼロにするのは至難の業です。
ですので、間違っても、「あ、また自分をディスカウントしている。こんなこともやめられないなんて、
自分はなんてダメなんだろう」などと、さらなるディスカウントをしないようにしてあげてくださいね!

 まずは気づくこと。それだけで、成長です!

その44 ~コミュニケーションの成果~

[コラム] 投稿日時:2012/11/15(木) 09:00

 たとえば、Aさんが後輩に「明日は社員研修だから、会議室の配置、いつものようにしておいてよ」と言って、
自分は外に出かけたとします。

 でも翌日出社して会議室を見ると、机の配置は思っていたようになっていません。

 そういうときAさんは、「なんでお前は、あんな簡単なこともできないんだ」と後輩を怒ったり、
口には出さなくても、「あいつはダメだな」とひっそりため息をついたり、
同僚に「あいつは使えないよ」と呟いたりするかもしれません。

 こういうケースの場合、Aさんは大抵、自分に原因があるとは思いません。
 でも、本当にAさんに原因はないでしょうか?

 このケースの場合、後輩はAさんのいう「いつものようにしておく」という意味がきちんと理解できていたのでしょうか?

 たとえばAさんは4人ずつが座れるような島形式にすることをイメージしていて、
後輩の方は学校のような全員が前を向いて座るイメージをしているなどという意識のずれはなかったのでしょうか?

 また後輩は、翌日Aさんが出社するまでに机の配置を終わらせておかなくてはいけないと、理解できていたのでしょうか?
 研修の時間に間に合えばいいと思っていないでしょうか?

 自分のことになると、冷静に見えなくなってしまうことも多いですが、
「あいつはダメだな」という意味あいのことを言っている人を客観的に見ると、
「ダメなのは、本当に相手なのかな」と思うことがあります。

 多くの人は基本的には従順で、上司や先輩にものを頼まれたら、できるだけその期待に応えようとします。

 でも、アウトプットが上司や先輩の期待に添わないものであった場合、考えらえるのは2つです。

 1.上司や先輩の指示が正確ではなかった
 2.頼まれた部下、後輩の能力が期待に達していなかった

 そして意外と、「1」のケースが多いのです。

 心理学のなかに、いい言葉があります。
「伝わったものだけが、コミュニケーションの成果」

 言ったのに、どうして? と思ったとき、この言葉を頭においておくと、今までとちょっと物事の見方が変わるかもしれません。
 自分は言ったつもりでも、相手に伝わっていなければ、それは言っていないのと同じです。

 言葉は、相手に届いてこそ意味があるという意識、大切ですね。

その43 ~本当の原因は何だろう?~

[コラム] 投稿日時:2012/10/16(火) 09:00

 社会保険労務士という仕事をしていると、「人」に関する問題について、 企業から色々なことを相談されます。

 そのなかで時々聞かれるのが、
「何度注意しても遅刻が直らないとか、ルールを守らない人がいるんだけど、
どうしたらいいんだろう?」
 という、社員の規律性に関するものです。

 多くの会社はそういうとき、始末書を一回一回出させるか、とか、厳しい罰則を作るか、とか、 とりあえずその出てきた問題を叩くことを考えます。

 でも「遅刻が多い」というひとつの問題を見ても、その原因は、いくつか考えられます。

たとえば
 ・会社の価値観や方針が下まで伝わっておらず、
  「結果さえ出せば(売上さえあげれば)、他はなにをやってもいい」というムードが
  社内にある可能性
 ・上司が部下をしっかり指導できるほどの「リーダー」に育っていない可能性
 ・「残業代が払われず、報酬が低い」という不満の表れである可能性
                                などです。

 根本原因が何か分からないうちに、とりあえず問題だけを叩くと、もぐら叩きのような状態に
なってしまい、たとえ遅刻は直っても、次はもっと大きな問題として、
表に出てくる可能性があります。

 ですので、まずは「根本原因」を突き止めることをお薦めします。

 そのために必要なのは、上司の「傾聴力」です。
 「こいつはだらしがないからだ」などという思い込みは捨てて、相手の言葉をしっかり聞きましょう。

 ただそう言っても、
 なかなか真の原因を突き止められるほど「傾聴力」のある上司も少ないのが現状です
 (そもそも上司に傾聴力があれば、大きな問題は生じていないともいえます)

 そんなとき弊社では、組織診断をお薦めしています。

 ・意思決定スピード
 ・価値観・方針の浸透
 ・人材の質と量
 ・環境整備
 ・情報の共有と活用
 ・PDCマネジメント
 ・評価と報酬

 という7つの分野に関するアンケートを社員に行い、社員の満足度と、
 社員の感じている重要度を測り、早急に対策を打つべき項目をあぶりだすというものです。

 たとえば、
 企業規模が大きくなり、支店が増えるにつれ、業績が下がっていった企業がありました。
 そちらの企業で組織診断をしたとき、一番問題にあがったのが「価値観・方針の共有」の部分でした。
 企業が大きくなり、距離的にも離れてしまったがために、集団としての一体感がなくなり、
 経営陣の方針がうまく下に伝わらなくなってしまっているのが原因と分析されました。
 その企業では、インターネットなども使い、毎週一回決められた時間にテレビ会議を
 開くことにしました。
 また年に1回、パート・アルバイトも含めた社員旅行を行うようにしました。
 その結果、連帯感が復活し、業績が伸び始めました。

 また他の企業では、中堅社員の離職率の高さや納期遅れやクレームの多さが気になっていたため、
 組織診断を受けました。
 一番引っかかったのは「環境整備」の項目と「人材の質と量」でした。
 リーダーに早朝出勤を義務付け、整理整頓を徹底的にさせたところ、納期遅れやクレームが減り、
 その後、リーダー層に対して管理職研修を行ったところ、会社全体の離職率が徐々に改善されていきました。

 根本原因が分かれば、効果的な対策を打つことができます。

 もし上司の傾聴力だけでは太刀打ちできない問題がありましたら、ご相談頂けたらと思います。
 >> お気軽にご相談ください。
  「組織診断に興味がある」とだけ書いていただけましたら、こちらからご連絡いたします。
   お問い合わせはこちら

その42 ~共通点を探そう~

[コラム] 投稿日時:2012/09/18(火) 09:00

 人とすぐ打ち解けられる人と、人と親しくなるのに時間がかかる人がいます。

 それは「個性」ですので、どちらがいいというわけではありませんが、
多くの新しい人に出会うような仕事をしている場合、ある程度はやく、人と打ち解けられたほうがいいですよね。
 社外の人との関係だけではなく、たとえば頻繁にメンバーが変わるプロジェクトチームで
仕事をしないといけない環境や、頻繁に新しい人が入社してくる会社の人にとっても、大事なことです。

 私自身はどちらかというと人見知り、人と打ち解けるのに時間のかかるタイプですが、
大学時代から大学を卒業してしばらくは塾の講師という仕事をしていたため、
その仕事においては、「多くの人と早く打ち解ける」というのが、必須のスキルでした。

 20代の頃は、特に心理学の勉強をしていたわけでもなく、
自己流で様々やってみていただけですが、自分の見つけた「初対面の人と打ち解ける一番の方法」は、
「できるだけ早くポイントを見つけて、褒める」ということでした。

 字がきれいだとか、計算が早いだとか、筆箱がかわいいだとか、
「嘘だ~」と相手に思われないことならなんでもいいので、何か小さなことを見つけて褒めてあげると、
相手の心はちょっとそこで開きます。

 それは子供だからかと思いましたが、その後、大人にも充分通用するということが分かりました。

 そしてもうひとつ見つけた「人と打ち解ける方法」は、「相手との共通点を見つける」ということでした。

 学習塾の講師時代は、さりげなく子供たちの好きなキャラクターのペンや定規を筆箱に入れたりしていたのですが、
子供たちは、そういうのを見つけると、「あ~、先生も○○(キャラクター名)好きなんだ」と妙に嬉しそうなのです。

 大人の場合、好きなキャラクターで共通点を見つけるのは難しそうですが、この共通点探しは、大人の場合も使えます。
 周りを見ていても、「この人、コミュニケーション力高いな」と思う人は、
相手との共通点を見つけるのが早いと思うのですが、そう思いませんか?

 たとえば出身地、学生時代やっていたスポーツ、趣味、休日の過ごし方、
好きなテレビ番組、好きな本や映画、ペット……。子供がいる人同士なら、
子供の年齢や学校のことでもいいですね。

 大人だからと変に固く考えず、子供時代にやっていたレベルでの「共通点探し」ができると、
人との距離は縮まりやすくなりますね。
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