コンテンツ提供元:株式会社ブレインコンサルティングオフィス
2017/09/15
非正規格差「一部違法」 地裁が賠償命令
「日本郵便で配達などを担当する契約社員3人が、正社員と同じ仕事なのに手当や休暇の制度に格差があるのは労働契約法に違反するとして、同社に手当の未払い分計約1,500万円の支払いなどを求めた訴訟の判決が、今月14日、地方裁判所であり、裁判長が、一部の手当や休暇について「不合理な差異に当たる」とし、同社に計約90万円の支払いを命じた。」という報道がありました。
正社員と契約社員などの非正規社員の労働条件の相違については、労働契約法20条で「職務内容などを考慮して不合理であってはならない」旨が定められています。
判決では、同条などに沿って契約社員3人の職務内容や同社の賃金規定などを検討し、「年末年始勤務手当」や「住宅手当」について、契約社員に全く支払われないのは「不合理だ」と指摘し、正社員の8~6割の手当を支払うよう命じました。
また、契約社員に夏期・冬期休暇がないことや病気が理由の有給休暇が認められていないことについても、「官公庁や企業で広く制度化されており、不合理だ」などとして違法と判断したとのことです。
その一方で、同条に関し「正社員と非正規社員の間で一定の賃金制度上の違いがあることは認めている」と指摘し、「夏期・年末手当(いわゆる賞与)」など6種類の手当については、仕事内容にも異なる点があるなどとして格差を容認。契約社員の請求を退けたとのことです。
契約社員側の弁護団は、同種の訴訟で「住宅手当」の支払いが命じられたのは初めてだとし、「他企業にも大きな影響を与える画期的な判決」とコメントしたそうです。
政府が目指す「同一労働同一賃金」実現に向けた議論にも影響を与えるかもしれませんね。
〔参考〕労働契約法のあらまし(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/leaf.pdf
※条文番号順に解説された資料です。同法20条をご確認ください。
« 作業員の死亡事故などを受け、建設業団体に注意喚起(国交省) | 働き方改革 労政審が法案の要綱をおおむね妥当と答申 ただし労働者側の反対意見も »
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