2011/12/19
年金財源に交付国債案 消費増税まで「つなぎ」 財務省
12年度予算編成で、基礎年金で国が負担するうちの2.6兆円分を「交付国債」でまかなう案を財務省が厚生労働省に対して示しました。交付国債で賄う場合、2.6兆円は歳出に計上されないため、12年度の一般会計総額は約90兆円となり6年ぶりに当初予算が前年度を下回ることになります。消費増税までの「つなぎ財源」として考えているようです。この法案が通った場合、財政健全化目標である「国債44兆円枠」は維持できる見通しです。
財務省はこれまで、基礎年金の国庫負担割合を今の50%から36.5%に引き下げるよう主張してきました。年金の給付水準を下げないため、引き下げ分の2.6兆円は、年金保険料をためている年金特別会計の積立金から出すよう求めてきました。 ただ、財源の裏付けの無い国債発行は好ましくないため、財務省は国庫負担率を予算案段階で36.5%に引き下げ、消費増税法案が成立するまでの間は
年金特会の積立金を取り崩す「2段階方式」を主張しています。一方、厚労省は「積立金を取り崩せば年金財政への信頼が損なわれる」として、あくまで国債発行によって差額を穴埋めするよう求めています。
交付国債の償還財源には、将来の消費増税による増収分を充てる予定です。財政規律を維持する姿勢を示しながら、年金財政を実質的に国庫で支援するという、異例の手法を検討することになります。
交付国債を活用すれば、厚労省は年金財政を悪化させずに済む一方で、財務省は国債発行額を抑制することができるため、妥協案として浮上してきた模様ですが、市場から「見かけ上の国債発行額を減らす粉飾行為」との批判を浴びる恐れもあり、政府は、交付国債の換金は消費増税法案の成立を条件とすることも検討している模様です。
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