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コンテンツ提供元:株式会社ブレインコンサルティングオフィス 

2011/05/18

最低保障年金、実現に消費税3.5%増 民主党案を試算


 民主党が掲げる新年金制度に完全移行すると、消費税で3.5%分の増税が必要なことがわかりました。民主党案をもとに、厚生労働省が2055年度時点の必要財源を試算しました。菅政権の消費増税と社会保障の一体改革への反映を目指しますが、制度設計は遅れています。

 民主党は16、17の両日、抜本改革調査会で新制度案について議論しました。新制度案は、満額で月額7万円の最低保障年金と所得に応じた保険料による所得比例年金を組み合わせます。最低保障年金は、平均年収が300万円の人から減額し、600万円を超えると支給されなくなる案を提示しました。夫婦2人の世帯では、平均年収の合計が1200万円超になると支給されません。

 平均年収520万円の夫と専業主婦の世帯でみると、老後の年金額は年収の59%で、現行制度より1割程度増えます。夫婦の合計年収が増えるほど年金は目減りするため、「中高所得層の多くは現行より減る」(厚労省幹部)ということです。

 新制度は、15年度に移行を始めて40年間かけて完了します。この案で厚労省が財源規模を試算したところ、55年度には38兆7千億円が必要になります。現行の基礎年金を続けた場合より、11兆7千億円増える計算です。55年度時点の消費税率に換算して2.5%分に相当します。これに、現行の基礎年金の国庫負担5割を維持するための1%分を合わせると、3.5%の消費増税が迫られます。

 調査会では、支給範囲などをめぐり異論が続出し、厚労省に別の案での再試算を指示しました。新制度の本格的な設計は6月に先送りされる見通しで、一体改革では現行制度の見直しの議論が先行することになります。