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コンテンツ提供元:株式会社ブレインコンサルティングオフィス 

2017/08/02

社会保障給付費が過去最高を更新 114兆円超


 国立社会保障・人口問題研究所は、今月1日、「平成27年度の社会保障費用統計」を取りまとめ、公表しました。

 ポイントは、次のとおりです。

・平成27年度の「社会保障給付費」総額は114兆8,596億円で過去最高を更新。対前年度増加額は2兆6,924億円、伸び率は2.4%(GDPの対前年度比は2.8%増であり、社会保障給付費の対GDP比は3年連続で下落)。
・1人当たりの「社会支出」は93万8,100円、「社会保障給付費」は90万3,700円。
・社会支出を政策分野別にみると、最も大きいのは「高齢」で55兆3,549億円、次いで「保健」の41兆884億円。この2分野で総額の約8割(80.9%)を占める。
・社会保障給付費を「医療」、「年金」、「福祉その他」に3分類すると、「医療」は37兆7,107億円で総額に占める割合は32.8%、「年金」は54兆9,465億円で同47.8%、「福祉その他」は22兆2,024億円で同19.3%。
・社会保障給付費に対応する、社会保険料や公費による負担などの「社会保障財源」は、総額123兆2,383億円で、前年度に比べ14兆84億円減(これは社会保険料、公費負担等が増加した一方で、資産収入が減少したことによる)。

 やはり、「年金」の費用は大きいですが、伸び率でいえば、平成27年度においては、「医療(3.8%)」が「年金(1.1%)」を上回っていました。

 平成27年度はこのような状況でしたが、平成29年8月からは、「年金」において、受給資格期間の短縮が実施されました。これにより、「年金」の費用が増加することは必至です。

 今後は、比較的所得が高い人からは、これまで以上の負担を求めるという考え方のもと、調整が図られていくことになりそうです。実際に、同8月から、「医療」において、70歳以上の所得が比較的高い方の高額療養費の自己負担限度額の引上げなどが実施されています。

 しかし、いずれは、抜本的に費用を減らすという議論に進まざるを得ないかもしれません。費用の削減でまず話題に上るのは、年金の支給開始年齢の引上げかもしれませんが、それを回避する手段も考えて欲しいですね。

 どのように「年金」、「医療」をはじめとする社会保障制度を維持していくのか、政府の手腕に期待するしかありません。
 

 社会保障費用統計について、詳しくは、こちらをご覧ください。

<平成27(2015)年度版社会保障費用統計を公開しました。>
http://www.ipss.go.jp/ss-cost/j/fsss-h27/fsss_h27.asp