2017/09/11
高プロ・罰則付き時間外労働上限規制一本化法案 労政審レポート
平成29年9月8日、労働政策審議会(労働条件分科会)において、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」が示され、内容について労使の代表から意見が述べられました。
改正案として示されたのは、以下8つの法律です。
・労働基準法
・じん肺法
・雇用対策法
・労働安全衛生法
・労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
・労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正
・短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
・労働契約法
このうち、労働基準法の罰則付きの時間外労働の上限規制等については、以前の傍聴レポートでお伝えしてきた内容のとおりですが、平成27年に国会に提出され審議されないままになっていた高度プロフェッショナル、企画業務型裁量労働の対象業務拡大等の改正案については、一部修正が加えられました。
修正内容は、本年7月に連合の神津会長が、総理に申し入れをした長時間労働防止、健康確保措置を義務付けたり、企画業務型裁量労働制については、対象業務を拡大解釈することがないよう業務範囲を明確化したりするものとなっています。
修正・新設事項のポイントは、以下のようなものです。
【企画業務型裁量労働制】
「企画・立案・調査及び分析を主として行うとともに、その成果を活用」、「対象業務を適切に遂行するために必要なものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する知識、経験等を有するものに限る」とされ、単なる営業職や現場の業務を行う職種は対象とならないことと明記されました。また、使用者の義務として、健康確保措置として勤務刊インターバルや一定の労働時間を超えないようにする措置、年次有給休暇以外の有給休暇の付与等が盛り込まれました。
【高度プロフェッショナル制度】
労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に意見を述べることを目的とする委員会
が設置された事業場で、委員の5分の4以上の決議があり、かつ、決議を使用者が労働基準監督署に届け出ること、健康確保措置として実施した内容を届け出ることが条件となります。(年収の条件や対象業務については修正がありません)
これら一連の改正法案の施行日は、平成31年4月1日となります。
ただし、雇用対策法は公布の日、中小事業主に猶予されている1月60時間を超える時間外労働の割増賃金率5割については、平成34年4月1日施行とされています。
審議会では、労働側委員からは、この修正があっても、高プロ・企画業務型裁量労働制の対象業務拡大には、揃って反対の意見が述べられましたが、使用者側委員からは評価すべきものという意見もありました。
次回の審議会では、秋の臨時国会への提出を見据え、改正要綱を労使双方が持ち帰り意見をまとめて臨むこととなります。
今後の動向に注目です。
法律案要綱について、詳しくは、こちらをご覧ください。
<「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」(諮問)>
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