2012/02/27
年金交付国債、予算審議の焦点に 消費増税で償還、反対派抵抗
2012年度予算案を巡る審議で基礎年金の国庫負担割合の50%維持を目的にした「年金交付国債」の発行が焦点になってきました。償還財源を将来の消費増税で賄うため野党や与党の増税反対派が抵抗しているからです。交付国債の発行を可能にする国民年金法改正案は予算関連法案。成立しなければ、今後の保険料負担と年金給付の問題も浮かび上がってきます。
年金交付国債は12年度に基礎年金の国庫負担割合2分の1を保つために必要な2.6兆円の裏付け。政府は「15年に10%」を明記した消費増税関連法案の成立を前提に増税分の一部を償還財源に見込んでいます。
自民、公明両党は年金交付国債について「安易かつ粉飾的手法だ」と批判しています。政府が交付国債を使ったため、12年度の新規国債発行は前年度と同じ44兆円。同水準を理由に財政規律を保てたと強調していることへの反発です。自民党は赤字国債発行で基礎年金の国庫負担割合を維持すべきだと主張しています。
与党内でも民主党の小沢一郎元代表に近い議員ら消費増税反対派は「消費増税を既成事実化する年金交付国債は賛成できない」との立場にいます。
「消費増税法案が成立しない場合、国庫負担割合維持のために赤字国債を発行するのか」。23日の衆院予算委員会で自民党の金子一義氏がただすと、安住淳財務相は「国庫負担割合が36.5%に戻ることになる」と否定しました。国庫負担割合が36.5%のまま現在の年金給付水準を確保するなら保険料の負担増、それを避けるなら給付減の対応を迫られかねません。
国民年金法改正案は国会に提出済み。政府・民主党は国会に社会保障と税の一体改革に関する特別委員会を設置し、3月中の閣議決定を目指す消費増税法案とともに早期に審議を進める計画です。
予算関連法案は衆院の優越が認められていません。参院でも可決するか、否決されても衆院で与党に3分の2以上の議席があれば、再可決できます。参院で野党が多数を占める「逆転国会」の現状で与党は単独ではその2つともできません。年金交付国債の議論が赤字国債発行法案など予算関連法案や消費増税法案と連動し、政局を揺るがしかねない展開です。
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