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コンテンツ提供元:株式会社ブレインコンサルティングオフィス 

2012/03/23

契約の年金基金、集団提訴に向け協議へ-AIJ投資顧問資金消失


 AIJ投資顧問の内部資料によると、昨年12月末時点で投資一任契約を結んでいたのは全国92基金となっており、そのうち80基金は同業や同じ地域の中小企業でつくる「総合型」の厚生年金基金となっていることが分かりました。これらのAIJ投資顧問と契約を結んでいた基金は今月に入り、刑事事件に発展した場合を考慮し、集団提訴する見込みで協議を始めました。

 運用環境が悪化している中で、大企業は掛け金の不足を穴埋めして国の厚生年金の代行部分(公的年金の一部を国に代わって企業が運用する部分)を返上し、確定給付型などの企業年金基金に移行しましたが、多くの総合型基金は資金不足で代行返上できずに乗り遅れ、積立金の不足がさらに拡大しました。AIJ投資顧問はこのような基金を狙い、2009年までの4年間で契約件数を4倍以上に増やしていました。

 運用実績が悪化し、厚生労働相から財政の健全化を求められる「指定基金」の条件の該当となることを避けるため、AIJへの委託率を増加した結果、全資産の半分以上を委託していた基金もあったとのことです。

 また、厚生労働省のAIJ投資顧問による年金消失問題後の厚生年金基金調査で、全578基金のうち、314基金で2011年3月期の年間の給付額が掛け金(保険料)を上回っていることが分かりました。過去10年の運用実績は平均年1.2%なのに、9割にあたる502基金の想定利回りは5.5%となっており実現可能性が低い高水準でした。4割近い212基金について、企業年金の積み立て金がゼロになっており、代行部分まで積み立て不足となっていたことが分かりました。