2012/03/26
アスベスト:労災死訴訟・地裁賠償命令判決 中部電の安全義務認めず
中部電力浜岡原発(御前崎市)でアスベスト(石綿)を吸い死亡したとして、2次下請けの男性会社員の遺族が中電など3社に損害賠償を求めていた訴訟は、静岡地裁(足立哲裁判長)が元請けの中電子会社と下請け会社の責任を認め約5200万円の支払いを命じました。弁護団によると、原子力発電所での作業をめぐる石綿訴訟は全国的にも極めて異例とのことです。
訴えていたのは、腹膜中皮腫で死亡した御前崎市のメンテナンス会社社員、丸山和也さん(当時39歳)の妻(44)ら遺族3人。
賠償を命じられたのは、中部電の子会社で、保守点検会社の中部プラントサービス(名古屋市)と、下請けの太平電業(東京都千代田区)です。
判決は、元請けの中部プラントサービス(名古屋市)と下請けの太平電業(東京都)が「丸山さんにアスベストを吸わせないよう、マスクを着用させるなどの安全配慮義務を怠った」としています。しかし中電については「丸山さんの作業を指揮監督しておらず、責任はない」と判断しました。
閉廷後の記者会見には原告らを支えてきた妻の兄の鈴木龍司さん(48)が参加。「被災地ではがれきの中でアスベストがむき出しになっている。今後のアスベスト処理に向け、今回の判例で一つでも二つでも(安全対策が)前進してもらえば、亡くなった和也の死も無駄ではないと思う」と再発防止を訴えました。
熱に強いアスベストは、原発でシール材など多くの部品で使われていたことが分かっており、鶴岡寿治弁護士は「原発作業員は放射線だけでなく、アスベスト粉じんにも注意しないといけないことを今回の判決が物語っている」と話しました。
大橋昭夫弁護団長は「一番責任を負わなければいけない企業(中電)が免責されたのは非常に残念」と不満をにじませながら、
「アスベスト被害を救済するのが全国的な流れ。県内にもその流れが広まったとみるべきだ」と意義を述べたといいます。
中部プラントサービスの総務グループは「アスベストの粉じんが飛散する可能性はなかった」と請求棄却を求めており「判決の内容を十分に検討して対応したい」とコメントしています。
« 厚生労働省が今国会に提出した法律案について(第180回国会(常会)提出法律案) | 合格率11.3%に上昇 外国人の看護師試験 »
記事一覧
- 雇用保険法等に基づく各種助成金 令和7年度分に係る制度の見直しや新設等を行うための改正省令案について意見募集(パブコメ) [2025/02/21]
- 40~64歳の介護保険料 令和7年度は月6,202円と推計 令和6年度から微減(社保審の雇用保険部会) [2025/02/21]
- 生産性向上支援訓練活用事例集の最新版(vol.9)を公表(独:高齢・障害・求職者雇用支援機構) [2025/02/21]
- テレワークセミナー(第1回~第8回)の動画と講演資料を公開(テレワーク総合ポータルサイト) [2025/02/21]
- 整備が進められている「事業者向けポータル」 概要について説明資料を公表(事業者のデジタル化等に係る関係省庁等連絡会議) [2025/02/21]