2012/04/02
誤って算定した平均賃金の額を正しく再決定します
昨年9月、労災保険給付の算定の基礎となる平均賃金を、誤って本来の額よりも低く示してしまったことが判明しました。厚生労働省では、関係者にお詫びするとともに、正しい金額を再決定し、差額を追加給付します。
あわせて、今回の算定ミスが他の労災保険受給者についても起きている可能性があることから、各都道府県労働局に対し、過去の請求事案について総点検を行い、必要な場合は正しい金額で平均賃金を再決定するよう、本日付けで指示を出しました。
今後は、正しい算定方法を改めて周知するとともに、再発防止を徹底します。
1 事案の経緯と概要
平成22年に兵庫労働局長が行った労働基準法に基づく平均賃金の決定処分に対し、行政不服審査法に基づく厚生労働大臣への審査請求が行われました。
この請求については、審査の結果、平成23年9月に厚生労働大臣が「原処分取消」とする裁決を示しましたが、本裁決の「理由」で示した推算方法が誤っていることがこのほど判明しました。また、この裁決に基づいて、平成23年10月に兵庫労働局長が再決定した平均賃金も誤っていました。
労働基準法に基づく平均賃金とは、労災保険給付などの算定の基礎となるもので、通常は算定事由発生日より前の3か月間に、その労働者に対して支払われた賃金の総額をその期間の総日数で割ることによって算定します。この原則で算定できない場合は、都道府県労働局長が決定することになります。
本件は支払われた賃金が不明なため、労働基準局長通達に基づき「賃金構造基本統計調査」を用いて推算することになりますが、審査請求の裁決の際に、推算に用いる数値がないものと誤認し、代替的な方法で算定することを示してしまいました。これに基づいて平均賃金を再決定したため誤りが生じたものです。
2 今後の対応
(1)審査請求への対応
本件の平均賃金額は、正しい推算方法によれば、再決定した額より高くなります。
関係者に対しては、御迷惑をおかけしたことについてお詫びするとともに、兵庫労働局長に対し、正しい平均賃金を再決定し、不足分について追加給付することを、本日、指示しました。(2)再発防止策の徹底
今回の事態は、審査請求制度の趣旨である「簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする」に照らして、誠に遺憾なことと考えており、再発防止を徹底します。
また、本日、各都道府県労働局に対し、平均賃金の正しい推算方法を周知徹底するとともに、間違った算定の可能性のある平成18年から平成24年までの決定事案について総点検を行い、平均賃金が誤っている場合は速やかに再決定し、労災保険給付などを正しい額で支給するよう指示します。
« 後期高齢者医療、44都道府県で保険料上昇 | 平成24年度~平成25年度後期高齢者医療制度の保険料率および平成24年度~平成26年度の介護保険の第1号保険料 »
記事一覧
- 雇用保険法に基づく各種助成金 「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を受けた見直しを行うための改正省令案について意見募集(パブコメ) [2024/11/25]
- 「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を閣議決定(首相官邸) [2024/11/25]
- ストレスチェックの実施義務対象の拡大など今後の労働安全衛生対策の方向性を示す報告(案)を提示(労政審の安全衛生分科会) [2024/11/25]
- 令和7年春闘方針の案を提示 定昇分を含め5%以上(中小は6%以上)の賃上げを目指す(連合) [2024/11/25]
- 第3号被保険者制度の将来的な解消に向けた早急な合意形成などを求める(日商が提言) [2024/11/25]