2023/07/03
令和4年度の精神障害の労災認定件数は710件 4年連続で過去最高を更新 その原因のトップはパワハラ(厚労省)
厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、平成14年以降年1回、取りまとめています。
この度、令和4年度「過労死等の労災補償状況」が公表されました(令和5年6月30日公表)。
そのポイントは、次のとおりです。
●過労死等(脳・心臓疾患と精神障害)に関する請求件数など
・請求件数は3,486件(前年度比387件の増加)。
・支給決定件数は904件(前年度比103件の増加)。
うち死亡・自殺(未遂を含む)件数は121件(前年度比15件の減少)。
●脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
・請求件数は803件で、前年度比50件の増加。
うち死亡件数は前年度比45件増の218件。
・支給決定件数は194件で前年度比22件の増加。
うち死亡件数は前年度比3件減の54件。
・時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)の傾向
支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」25件が最も多い。
また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「60時間以上~80時間未満」45件が最も多い。
●精神障害に関する事案の労災補償状況
・請求件数は2,683件で前年度比337件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の183件。
・支給決定件数は710件で前年度比81件の増加。
うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件減の67件。
・時間外労働時間別(1か月平均)の傾向
支給決定件数は「20時間未満」が87件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が45件。
・出来事別の傾向
支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」147件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」89件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」78件の順に多い。
報道では、精神障害に関する事案の支給決定(労災認定)の件数が増加していること(4年連続で過去最高を更新)や、その原因のトップがパワハラであることなどが話題になっています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33879.html
« 岸田総理からの諮問に応じて答申「わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―」を取りまとめ(政府税制... | 令和5年度の地域別最低賃金 全国加重平均1,000円の達成に向けて議論を開始(中央最低賃金審議会) »
記事一覧
- 雇用保険法に基づく各種助成金 「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を受けた見直しを行うための改正省令案について意見募集(パブコメ) [2024/11/25]
- 「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を閣議決定(首相官邸) [2024/11/25]
- ストレスチェックの実施義務対象の拡大など今後の労働安全衛生対策の方向性を示す報告(案)を提示(労政審の安全衛生分科会) [2024/11/25]
- 令和7年春闘方針の案を提示 定昇分を含め5%以上(中小は6%以上)の賃上げを目指す(連合) [2024/11/25]
- 第3号被保険者制度の将来的な解消に向けた早急な合意形成などを求める(日商が提言) [2024/11/25]