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コンテンツ提供元:株式会社ブレインコンサルティングオフィス 

2012/05/09

公的年金、6月にも新興国株で運用 当初1000億円規模


 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2012年6月にも、中国やインドなど新興国市場に上場する企業の株式に投資を始めます。当初の投資額は1000億円程度とする見込みです。投資ノウハウを蓄積したうえで投資額を増やしていきます。年金財政の悪化に対応し、運用成績の底上げにつなげたい考えです。

 GPIFは年金福祉事業団を改組した年金資金運用基金から公的年金の積立金の運用・管理業務を引き継ぎました。運用資産総額は2011年12月末で約108兆円。運用資産は、おおむね国内債券で7割、国内株式、外国債券、外国株式がそれぞれ1割程度で構成されています。

 現行の運用規則では、外国株式の運用対象を原則として約20カ国の先進国の企業に限定しています。今回、規制を見直し、新興国の株式市場に上場する企業の株式にも投資できるようにします。

 民間の企業年金で新興国株への投資が広がっているほか、ゆうちょ銀行が10年から上場投資信託(ETF)を購入する形で中国、ブラジルなどの株式への投資を始めています。公的年金の運用でも、資産の一部を成長市場に振り向けることにしました。

 ただし、1割程度の外国株への投資比率の大枠は変えずに先進国から新興国の株式に振り分けます。リスク運用の拡大に慎重論があるためで、今回の新興国株投資の解禁はノウハウ蓄積に向けた試行的な取り組みという側面もあります。

 新興国株の値動きを示す「MSCI新興国市場指数」を上回る収益を目指します。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)や、南アフリカ、メキシコなどの株式市場に上場する企業を投資対象にする見込みです。

 厚労省が09年に示した公的年金の財政検証では、20年度以降の運用利回りを年4.1%に設定していますが、06~10年度の運用利回りは年平均マイナス0.32%と低迷しています。一方、高齢化進展による給付増と積立金の取り崩しが毎年続き、運用成績の底上げが急務になっています。