2024/04/17
技能実習生の指導員の「みなし労働時間制」 適用を否定した二審判決を破棄(最高裁)
外国人技能実習生の指導員の事業場外での勤務に「みなし労働時間制」を適用できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が、令和6年4月16日、最高裁第三小法廷でありました。
裁判長は、みなし労働時間制の適用の余地があるとの判断を示し、これを適用できないとした二審の高裁判決を破棄し、適用の可否を改めて検討させるため審理を同高裁に差し戻しました。
一審と二審では、指導員が訪問先や業務時間を記した業務日報を提出していたことから労働時間の算定は可能と判断し、みなし労働時間制の適用を否定。外国人の技能実習に係る監理団体に残業代の支払いを命じていました。
これに対し、今回の最高裁では、指導員の業務が多岐にわたり、スケジュール管理も自ら行っていたことを踏まえ、「管理団体が勤務状況を具体的に把握することが容易とはいえない」と指摘し、みなし労働時間制の適用の可否を改めて検討する必要があるという判断になりました。
なお、次のような補足意見も示されています。
●いわゆる事業場外労働については、外勤や出張等の局面のみならず、近時、通信手段の発達等も背景に活用が進んでいるとみられる在宅勤務やテレワークの局面も含め、その在り方が多様化していることがうかがわれ、被用者の勤務の状況を具体的に把握することが困難であると認められるか否かについて定型的に判断することは、一層難しくなってきているように思われる。
こうした中で、裁判所としては、上記の考慮要素を十分に踏まえつつも、飽くまで個々の事例ごとの具体的な事情に的確に着目した上で、本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるか否かの判断を行っていく必要があるものと考える。
このような考え方が、今後の裁判所の判断に反映されていくものと思われます。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<最高裁判所ホームページ:令和6年4月16日・最高裁判所第三小法廷判決>
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=92906
« 競業避止義務の明確化について 厚労省の取組や裁判例などを紹介(内閣府のWG) | 令和6年財政検証 基本的枠組みを示す 複数の年金制度改革案の効果も試算(社保審の年金部会) »
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