2012/12/25
大手2行、グループ内派遣社員1万8千人を順次直接雇用に、法改正対応
銀行大手の三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループが、今年度末までに系列企業が行う派遣事業から撤退する方針を固めたことが2012年12月23日、分かりました。グループ内派遣の規制を厳しくした改正労働者派遣法に対応し、在籍する派遣社員計約1万8千人について、順次直接雇用に切り替える見通しです。
改正法施行後、大手企業グループの派遣事業撤退が明らかになるのは初の事例となっています。今回の対応の根拠となっている労働者派遣法の主な改正は、大企業が人件費節約などを目的に派遣子会社をつくり、系列企業に労働者を派遣する割合を8割以下に制限する規定で、今年10月の労働者派遣法改正で盛り込まれました。
本来、直接雇用するべき人を低賃金で不安定な労働条件下で働かせる恐れがあるなどと問題点が指摘され、規制を強化することとなりました。派遣割合は人数ではなく総労働時間による算出ですが、悪質な違反が認められれば、派遣事業の許可が取り消されます。今後、他の企業グループでも同様の動きや事業見直しなどが進むとみられ、厚生労働省は労働市場や雇用環境などへの影響を注視するとしています。
三井住友は、グループ傘下のSMBCスタッフサービスが銀行本体に約7300人、グループ全体で約1万人の社員を派遣しています。グループ外への派遣実績はほとんどなく、来年1月までに全員を派遣先での直接雇用に切り替える方針を決定しました。直接雇用後もグループ全体の人件費は変わらない見通しで、同社は賃金や待遇面などで不利益が生じないよう配慮する方針で、SMBCスタッフサービスについても、給与計算や労務管理などを受託する会社として存続させます。
三菱UFJも、傘下の三菱UFJスタッフサービスが抱える派遣社員のほぼ100%にあたる約7900人を、窓口業務や受付などの事務系要員などとして銀行本体に派遣していたが、大半を今年10月までに直接雇用に切り替えました。
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