過重労働によるうつ病に対して、休職期間終了を理由とする解雇は不当として、東芝の技術職の元社員が解雇無効の確認などを求めた訴訟の控訴審判決で、23日、東京高裁(岡久幸治裁判長)は1審に続き、業務とうつ病の因果関係を認め解雇を無効としました。東芝側の敗訴です。
2008年4月、一審で東京地裁判決が解雇を無効とし、慰謝料など約835万円と未払い賃金の支払いを命じたのに対し、東芝と元社員双方が控訴しました。二審の岡久裁判長は双方の控訴を退け、慰謝料部分で労災認定による休業補償支給分などを差し引きました。
元社員は判決後に東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「東芝の対応は病気の私を苦しませ続けている。誠意を持ってほしい」と述べました。東芝広報室は「今後の対応は、判決内容を精査して慎重に検討していきたい」とコメントしました。一審判決によると、元社員は埼玉県の深谷工場で2000年から液晶生産ラインの開発などを担当しており、長時間の過重労働のために2001年4月にうつ病と診断され10月から欠勤していましたが、会社は2004年9月に元社員を解雇しました。元社員が国に労災の療養・休業補償の不支給処分取り消しを求めた別の訴訟では2009年5月、東京地裁が処分を取り消し、労災を認めました。