コンテンツ提供元:株式会社ブレインコンサルティングオフィス
2014/10/27
協会けんぽより財政構造が発表されました
①健康保険「協会けんぽ」が直面している厳しい現実
「協会けんぽ」は中小企業で働く方やそのご家族が対象の健康保険です。国民の約3.6人に1人が加入しており、サラリーマンの医療保険の「最後の受け皿」として国民皆保険制度を支えています。現在の保険料率は全国平均で10.0%、「健康保険組合」や「国家公務員共済組合」よりも重い負担です。当協会は医療費を抑える「ジェネリック医薬品の使用促進」などの対策を進めてきましたが限界があり、加入者の医療を支え続けるため、やむなく保険料率を引き上げてきた現実があります。
②同じ医療サービスを受けるのに、他の健康保険よりも保険料負担が重い。大きな格差が生まれています。加入者の負担はもはや限界。さらなる国の補助が必要です。
保険料率10.0%は、多くの中小企業にとって負担の限界です。これ以上に負担が増せば、経営破綻などを引き起こす懸念があります。加入者からも、「企業の利益率が下がる中での負担増は、雇止めにつながる」、「将来が見通せず、不安だ」など深刻な声が上がっています。平均給与が低い中小企業が中心の当協会は、構造的に財政が脆弱なため、国庫による補助が制度化されており、現在の補助は保険給付費の16.4%です。しかし、さらなる増額が必要というのが現実です。
③支出の4割は加入者のために使われない。制度の見直しが求められます。
健康保険は、高齢者の医療費も支え合って負担する仕組みです。当協会では、支出の4割(約3.5兆円)が高齢者医療にあてられており、協会けんぽの財政を悪化させています。もちろん高齢者医療を支えることは大切ですが、他に方法はないのか。こうした現実は「国民皆保険制度」全体の問題でもあります。さらなる社会の高齢化が進む中、制度の見直しが必要な時です。
④このままでは近い将来、深刻な累積赤字になる可能性も。
「協会けんぽ」加入者の賃金が現状のまま、国の支援が現在の水準であり続ければ、平成28年度には収支が1,900億円の赤字に。平成30年度には、赤字が5,300億円にまで拡大、積立金も使い果たし、1,700億円の累積赤字となる可能性があります。当協会では、これまで繰り返し補助の増額を国にお願いしてきましたが、残念ながらいまだ実現していません。
« 妊娠による合意ない降格は違法で無効、マタハラ訴訟で最高裁が初判断 | 労働者派遣法11月採決の動き »
記事一覧
- 「令和6年分所得税の定額減税Q&A」を更新 外国語版の資料も追加(令和6年5月15日)(国税庁) [2024/05/16]
- 出産費用の保険適用の導入などについて本格的な検討開始(厚労省が検討会設置) [2024/05/16]
- マイナンバー情報照会の実施状況 地方公共団体の大半が未利用 会計検査院が指摘 [2024/05/16]
- 令和6~8年度の介護保険の第1号保険料 全国平均で月6,225円 過去最高を更新(厚労省) [2024/05/15]
- 扶養に入っている有職者の63.4%が就業調整をしていると回答(連合の調査) [2024/05/15]