2017/09/13
パワハラで外国人技能実習生がうつ病 労災認定
「建設会社で技能実習生として働いていたカンボジア人の男性がうつ病を発症したのは、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)が原因だったとして、所轄の労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。」という報道がありました。
男性と男性が加入する労働組合などが、今月12日に記者会見を開き、明らかにしました(労災認定は本年6月7日付け)。
会見によると、男性は、平成26年7月に建設会社に入社。複数の日本人の上司から、日常的に「バカ、この野郎」と暴言を受け、時には、胸ぐらをつかまれて押し倒されるといった暴行を受けたこともあったとのことです。
そして、平成28年3月にうつ病と診断されました。
労働基準監督署は、上司の言動は業務指導の範囲を超えた人格否定で、うつ病発症の原因になったと判断。労災認定を行いました。
外国人技能実習生の精神疾患に対する労災認定は珍しいですが、これは氷山の一角に過ぎないでしょう。類似の事例があっても、言葉の壁もあり、立場の弱い被害者側が泣き寝入りするのが一般的だと容易に想像できます。
国籍が違っても人格否定はあってはならない。
立場が弱い者にストレスの捌け口を向けるようなことがあってはならない。
そんな当たり前のことを再認識させられる事案ですね。
なお、ハラスメントに着目とすると、厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準」の中で、いじめやセクハラなどに関する基準が示されていることを知っておきたいところです。
たとえば、「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた場合」は、被害者が受けた心理的負荷の強度が強く、労災認定されることになります。
その例として、
・部下に対する上司の言動が、業務指導の範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性
を否定するような言動が含まれ、かつ、これが執拗に行われた
・同僚等による多人数が結託しての人格や人間性を否定するような言動が執拗に行われた
などが掲げられています。
まさしく、ここで紹介した事案ですね。
〔参考〕心理的負荷による精神障害の認定基準(詳しくは、こちらのパンフレットをご覧ください)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120427.pdf
« 年金受給の繰下げを70歳以降も可能とすべき 検討を提言 | 無期転換ルールの周知・啓発 厚労省が使用者団体に要請 »
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