• トップ
  • トピックス
  • 特段の定めがある場合を除き、契約に当たり押印をしなくても契約の効力に影響は生じない(政府が見解を示す)

人事・労務に関するトピックス情報

コンテンツ提供元:株式会社ブレインコンサルティングオフィス 

2020/06/24

特段の定めがある場合を除き、契約に当たり押印をしなくても契約の効力に影響は生じない(政府が見解を示す)


内閣府、法務省及び経済産業省は、「押印についてのQ&A」を作成し、これを公表しています。
 
今般、テレワークの推進の障害となっていると指摘されている民間における押印慣行について、その見直しに向けた自律的な取組が進むよう、このQ&Aを作成したということです。
 
 冒頭の問が話題になっています。
問1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。

・私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、 書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
・特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、 契約の効力に影響は生じない。
 
 また、他のQ&Aから要点を拾うと、次のようなことが書かれています。
・民訴法第 228 条第4項には、「私文書は、本人[中略]の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」という 規定がある。この規定により、契約書等の私文書の中に、本人の 押印(本人の意思に基づく押印と解釈されている。)があれば、 その私文書は、本人が作成したものであることが推定される。
本人による押印がされたと認められることによって文書の成立の真正が推定され、そのことにより証明の負担は軽減されるものの、 相手方による反証が可能なものであって、その効果は限定的である。
・このように、形式的証拠力を確保するという面からは、本人による押印があったとしても万全というわけではない。そのため、テ レワーク推進の観点からは、必ずしも本人による押印を得ることにこだわらず、不要な押印を省略したり、「重要な文書だからハン コが必要」と考える場合であっても押印以外の手段で代替したりすることが有意義であると考えられる。
 
 そして、最後に、次のような問が紹介されています。
問6.文書の成立の真正を証明する手段を確保するために、どのようなものが考えられるか。 

・次のような様々な立証手段を確保しておき、それを利用することが考えられる。
①継続的な取引関係がある場合
→取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存(請求書、納品書、検収書、領収書、確認書等は、このような方法の保存のみでも、文書の成立の真正が認められる重要な一事情になり得ると考えられる。)
②新規に取引関係に入る場合
→契約締結前段階での本人確認情報(氏名・住所等及びその根拠資料としての運転免許証など)の記録・保存
→本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでの PDF送付)の記録・保存
→文書や契約の成立過程​​(メールやSNS上のやり取り)の保存
③電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログインID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む。)
以下略
 
 もちろん、行政との契約にはハンコが必要となることが多いですが、民間同士の契約においては必須ではないということが明確にされています。
 
 詳しくは、こちらをご覧ください。
<押印についてのQ&A>
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00095.html