2020/10/30
令和2年版 過労死等防止対策白書を公表 自殺事案について医療機関への「受診歴なし」が約6割
厚生労働省から、令和2年10月30日に閣議決定された「令和2年版 過労死等防止対策白書」が公表されました。
この白書は、過労死等防止対策推進法に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書です。
5回目となる今回の白書のポイントは次のとおりです。
〔「令和2年版 過労死等防止対策白書」の主なポイント〕
①過労死等の実態把握のための調査研究として行った、労災認定事案の分析、企業の労働者等に対するアンケート調査結果、疫学研究等の分析について報告。
②長時間労働の削減やメンタルヘルス対策、国民に対する啓発、民間団体の活動に対する支援など、昨年度の取組を中心とした労働行政機関などの施策の状況について詳細に報告。
③企業や民間団体などでのメンタルヘルス対策や勤務間インターバル制度の導入など、過労死等防止対策のための取組事例をコラムとして多く紹介。
労災認定事案の分析においては、次のような報告が行われています。
●平成22年4月から平成30年3月までに認定された脳・心臓疾患事案2,280件、精神障害事案3,517件を分析
・ 脳・心臓疾患事案について、発症前6か月の労働時間以外の負荷要因は、「拘束時間の長い勤務」(30.1%)、「交代勤務・深夜勤務」(14.3%)、「不規則な勤務」(13.3%)が多い。
・平成24年4月以降の精神障害事案(2,879事案)について具体的出来事別にみると、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」(21.9%)、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(17.7%)、「上司とのトラブルがあった」(15.5%)が多い。
●平成27年4月から平成29年3月までに認定された精神障害事案のうち、自殺事案(自殺未遂を除く。)167件を抽出・分析
・自殺事案を発病から死亡までの日数別にみると、「29日以下」が半数以上であった。
・自殺事案について、労災認定の疾病に関して、医療機関への「受診歴なし」が約6割であった。
・自殺事案を職種別にみると、専門的・技術的職業従事者、管理的職業従事者が多く、その割合は精神障害事案全体と比較しても高い。
精神障害による自殺についての分析結果をみると、相談窓口で相談をする、医療機関で受診する、といった対応を早めにとれば、未然に防げるものもあったかもしれないと感じますね。
厚生労働省では、「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会」の実現に向け、引き続き過労死等防止対策に取り組んでいくということです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<「令和2年版 過労死等防止対策白書」を公表します>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14398.html
〔参考〕働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(厚労省委託事業)のトップページ
https://kokoro.mhlw.go.jp/
※相談窓口の案内もされています。
これは一例ですが、このような相談窓口があることを、社員等にも周知しておくとよいかもしれませんね。
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