長期失業者等の職業訓練・生活費の支援をする国の「緊急人材育成・就職支援基金事業」において、栃木県大田原市の社団法人「職業能力教育協会」が事業費を水増しして請求し、290万円の不正受給をしていたことが21日、同協会と関係者への取材から分かりました。同協会の加藤裕章代表理事は「運営が楽になると思った」と話しています。
厚生労働省によれば、この事業をめぐった不正発覚は初めてとのことで、「他に事例がないか、全国調査も検討する」としています。
この「緊急人材育成・就職支援基金事業」は、短期就労を繰り返す人や失業者に職業訓練を実施し、一定以上訓練講座に出席した場合、失業者には生活費、事業の受け皿である組織には訓練費がそれぞれ支給されます。関係者によれば、同協会は栃木、福島両県の計13教室でパソコンや簿記の訓練を実施しており、一部の教室で出席が足りない人の受講日数を水増しし、昨年7月から今年1月に13人分の訓練費計130万円と、5人分の2~6カ月間の生活費計160万円を不正に受給していました。
生活費はいずれも本人が受け取っていおり、他の受講者が「受講していない人が生活費をもらっている」と指摘したことにより発覚しました。加藤代表理事は「不正受給分は返納する」としています。