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2012/01/20
半年間で力を…東大秋入学、人材求め経済界歓迎
東京大学(浜田純一学長)の懇談会は2012年1月18日、秋入学への全面移行を求める中間報告(まとめ)を経営の重要事項を審議する経営協議会に提出しました。実現に向けては学内の合意形成とともに他大学の協調がカギですが、九州大が同日、検討組織の発足を表明するなど呼応する動きも表面化しました。波紋は産業界にも広がり、グローバル展開する大手企業などからは積極的に評価する声が聞かれました。
経団連の米倉弘昌会長は18日夜、記者団に対し、「高校卒業から入学までの半年間で、ボランティア活動や海外研修などで力をつけられる。大いにやってほしい」と歓迎の姿勢を示しました。東大の浜田学長は2月1日、米倉会長に移行案を説明する予定です。
欧米では、大学入学前や卒業後に、学生が1年ほどボランティア活動などをして過ごすことが社会的に認められており、「日本でも、学生の多彩な経験は、採用活動でも積極的に評価すべきだ」(経団連)と声があがっています。
欧米の大学と同様に秋入学を導入する大学が日本でも増えれば、「日本で海外留学生を採用できる機会が増える」(武田薬品工業)との期待もあります。大型合併を通じて国際展開を進める武田薬品のように、海外事業に必要な人材を獲得するため、日本人の海外留学生や米国や中国などで現地の学生を採用する企業は多くなっています。
しかし、大学によって入学時期が春、秋に分かれたままだと、採用活動を年2回行わなければならず、企業の負担は増えます。経団連の調査では、1年に複数回の採用を行う「通年採用」を導入済みの企業は全体の26・5%にとどまり、秋入学に切り替える大学が増えれば、多くの企業が採用時期の変更を迫られます。
今年10月に住友金属工業と合併する新日本製鉄は既に複数回の採用を始めており、「秋入学の大学が増えても対応できる」としています。ただ、多くの企業は「他の大学が続くかどうか見守りたい」(ソニー)として議論の広がりを見守る姿勢となりそうです。
文部科学省からは「海外から優秀な留学生を獲得しやすくなる」との意見や「学生は就職がどうなるか不安になるだろう。東大だけが秋入学を導入すれば、敬遠する受験生が出かねず、経済界や他大学との連携が欠かせない」、また「他大学は東大の“お手並み拝見”と静観する見方が主流だろう」との意見がでています。
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